小規模な村の将来についてリアルな数字をだすということ

兵庫県の小規模集落元気作戦のアドバイザーとして、弊社の浅見がある集落に派遣されています。

兵庫県のいう小規模集落とは、高齢化率が40%以上、世帯数40世帯以下の、いわゆる限界集落一歩手前の集落のことです。
その小規模集落にアドバイザーとしてはいり、どうやって村の元気を取り戻すのか、若しくはこのままでいいのかなど、住民のみなさんの話し合いの意見調整およびアドバイスを行なっています。

兵庫県養父市のある集落にアドバイザーとしてはいって、約2年程経ちます。月に1度会合を開いています。残念ながら、会合の参加者はなかなか増えないのが現状です。
そういう状況のなかで、住民さんから、この村のみんなは、将来に対する危機意識が低過ぎるという意見が出されました。

そこで、村の10年後、20年後の世帯数と人口がどうなるのか、リアルな数字を出してみようと言うことになりました。

村の地図を広げて、この家には、何歳代の男の人が何人、女の人が何人と、住民さんの情報を聞きながら地図にプロットしていきました。
その情報をもとに、10年後と20年後の数値を出したところ…

■人口 現在 175人 →10年後 148人 →20年後 114人 
という結果になり、20年後には人口が現在の65%になることがわかりました。

■世帯数 現在 87戸のうち空き家19戸 →10年後 30戸 →20年後 41戸
という結果になり、20年後の空き家の数は全体の47%になってしまうことがわかりました。

私たちは、これを住民さんに見せていいものか、悪いものかと悩みつつも、人口ピラミッドをつくり、住民さんにみてもらいました。

住民さんは、「これは面白い資料だ。いままで、村の将来がどうなるか、数値であらわしたものを見たことがなかった。」
「この数値をみたら、村の人は危機感を抱くかもしれない」といった意見がでました。

この結果をみて、みんなどんよりしてしまうのではないかと心配していたのですが、違いました!

この村には、日本の滝100選に選ばれた滝があり、紅葉の名所にもなっていて、NHKでもここの紅葉情報が流されていたそうです。しかしながら、最近はその座を出石に奪われ、紅葉情報も流されなくなったそうです。
「この村をもみじで一杯にしたい」と言って、もみじの苗を育てている方がいます。
そうだ、もみじを皆で植えよう!できる場所から始めよう。道路から真っ赤なもみじが滝まで連れて行ってくれるような環境にしようという、とても前向きな意見がでました。
きっと、みんなしょんぼりしてしまうと思っていたのに、逆にみんなが、自分たちでできることを始めることを2時間の会議で決めてしまったこと、これはすごいなと思いました。

日本の滝100選に選ばれた滝、そして行動力のある住民さんたち。こんなポテンシャルのある村なら、将来、きっと大丈夫なのではないかと思いました。

もみじは、冬に植えた方がいいそうです。
次回の会合では、早速もみじを植える計画について話し合います。

リアルな将来像を見つめること、それは決してマイナスではなく、むしろプラスに働くこともあるのだということがわかりました。

こば

2012.02.07

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