聴竹居を見学してきました。
聴竹居は、藤井厚二さんの設計による昭和3年の木造平屋建の住宅です。
京都の大山崎にあり、閑静な住宅の中に佇んでいます。
以前は、一般公開されていませんでしたが、現在は申込により見学が可能になっています。
聴竹居は、以前からずっと観に行きたいと思っていた住宅の一つでした。
昭和3年の住宅にして、「環境共生住宅」(今ではよく聴く言葉ですが)であることで有名です。
もちろんその点にも興味がありましたが、やはり写真から受ける洋風と和風が融合した抑制の効いたデザインをこの目で見てみたいと思っていました。
私が聴竹居を観て感じたことは「見せるデザインと見せないデザインの美しさ」でしょうか。
環境共生という点では、居間とつながる3畳間、この3畳間が30センチ程上がっているのですが、この段差を利用して目立たないように引き戸が取り付けられています。ここからは、外部の空気をダクトのようなものを通して冷たい空気が室内に送られます。縁側の天井には、室内の熱気を屋根裏から屋外へ抜く為の引き戸が、よく見ないと分からないように設けられています。夏、冷気を床下から取り入れ、熱気を天井裏から出す、快適な居住空間が作られています。この仕組みが、なるべく目立たないようにひっそりとデザインされていることにやられました…。
また、見せないデザインという点では、解説していただいた方から聴いて分かったのですが、仏間と神棚には両者とも扉が付けられており、普段は扉を閉めて室内をすっきりと見せるデザインになっていました。神棚の下には、マッキントッシュのデザインをパクってつくられたという時計が平然と飾られているのでびっくりです!扉があるからこそできる技!
見せるデザインとして印象的だったのは、床の間です。床の間といってもいわゆる「床の間」らしくないデザインの床の間が客室と居間に設けられています。西洋では暖炉が部屋の中心にあるように、藤井厚二さんはそれを日本の家屋に合う床の間に置き換えたそうです。洋風と和風が融合したモダンデザインの中にこの床の間はすんなりと溶け込んでいました。
そして、どの室の中心に建って室内を見渡してみても、すべての展開が素晴らしく美しかったです。立ってみても美しい、椅子に座って目線を変えてみても美しい。ちなみに、藤井厚二さんの書かれた図面も美しかったです。この住宅にかける意気込みがびしびし伝わってくるようでした。
いつまでもここに身をおいておきたくなる住宅です。
私たちも、藤井厚二さんのような熱意をもって住宅設計に取り組みたいと思いました。
聴竹居がテレビで紹介されるそうです。
NHK教育テレビ、BShi、総合
番組名:「美の壺 File 162 昭和レトロの家」
www.nhk.or.jp/tsubo/
2010年3月19日(金) 夜10時00分〜10時30分
こば
2010.03.09